テレビや本で時々取り上げられる『前世』っていう話。人間の輪廻転生の考えに基づいているんですよね。じゃあ、それがあるとして……自分の前世ってわかるものなんでしょうか。たぶん普通はわからないですよね。だって、知人から「私は前世で○○だったの」なんてことは聞いたことがないですもの。でも、今、読んでる小説に登場する女性は自分の前世について語ってるんです。それも驚くことに自分は『ヤツメウナギ』だったと。それを読んだところで『ヤツメウナギ』自体がどんな物なのかがわからないんですけどね。けど、彼女は「川底の石に吸い付いてユラユラしていたことを覚えてるし、上を見上げたら大きな魚が流れるように泳いでいたことや魚たちが鳥の餌食になるところを目撃したりした」と話してるんです。普通なら「そんなバカな」って笑い話になるところだけど、その小説では神妙に物語は進んで行ってるんです。もちろん小説であっても、その女性の話は有り得ないと思うんだけど、彼女が真面目に話してるんだから、もしかしたらあるかもしれないって思えるんです。なぜなら、以前、友人と博物館に古代遺跡の展示を見に行った時に、展示物を見ていたら突然、私は前世でここにいたことがあるって思ってしまったんです。友人に話したら「きっとそうだよ」なんて言うから、私も「まちがいない」って確信しました。けど、このことって他の人にしてみたら「そんなバカな」ってことだと思うんですよね。まぁ、誰かが害をこうむるわけじゃないから思うのは自由なんですけどね。だから『ヤツメウナギ』だって悪くはないんです。